トカラ列島群発地震はなぜ起こる

トカラ列島で地震が頻発している。
1. 群発地震の原因
読売新聞の「防災ニッポン」の記事には、

「フィリピン海プレートの上の海底台地が陸側プレートにぶつかるのが原因」
とある。この説明には4つの問題がある。
@なぜ深さ20 km付近で地震が起こるのかの説明ができない。
一般に岩石は深度が浅いほど柔らかい。だから、海台のぶつかりが原因なら、地表付近の軟らかい岩石が破壊されて、地表付近で
地震が起きるはずである。しかし、震源は10〜30 km である。深さ1〜30 km には強度の強い花こう岩がある。
A地震でできる断層の多くは「高角」の断層である。横からのぶつかり圧力だと、物性物理では45度の以下の低角の断層ができる。高角の断層はできない。
B海台のぶつかりが原因だと圧力が常にかかるので、地震は「何100年」も続き、断続的にならない。しかし、実際は数年間隔で断続的に起きている。
C 連続噴火が継続している新燃岳など、頻発さする九州の地震・火山との関連が説明できない。 「関連がない」とするなら、頻発する九州の地震・火山の原因も説明する必要がある。
2. 群発地震の原因は「大陸地殻の発達」である。
@トカラ列島は日本の島弧の一部で、地下には上部地殻の花こう岩がある。その花こう岩地殻の底部にマントルから上昇してきた玄武岩マグマが貫入して、玄武岩質の下部地殻を形成しているので、深さ10〜30 km付近で地震が起こる。
 ※貫入…マグマが地表に現れることなく、地殻内に流入すること。迸入ともいう
A地震は玄武岩マグマの貫入圧と貫入部分の岩石の膨張圧で、上部地殻の花こう岩が破壊されて起こる。圧力方向は下からの上への鉛直方向なので、高角の断層ができる。震度の大きな地震は花こう岩が大きく破壊された時に起こり、震度の小さな地震は花こう岩が小さく破壊された時に起こる。
B玄武岩マグマが貫入すると下部地殻の体積が増えて、トカラ列島は隆起する。マグマが固まると玄武岩質の下部地殻が形成されて、大陸地殻全体が厚くなる=発達する。つまり、今回の群発地震は、トカラ列島付近の大陸地殻の発達である。トカラ列島付近が隆起して、九州から台湾までの陸地ができて日本列島が発達する過程の一部である。
C大陸地殻底部への玄武岩マグマの貫入は、九州全域で起こっている。雲仙普賢岳の噴火(1991)、熊本地震(2016)、日向灘地震(2024)、桜島噴火、
新燃岳噴火など、すべて原因は同じである。九州全体で下部地殻が形成されて、大陸地殻が発達している。
D玄武岩マグマの起源はアジア大陸に求められる。気象庁は、地震波トモグラフィを使って、下部地殻に貫入する
玄武岩マグマの貫入量変化を継続的に実施する必要がある。また、九州全体の大陸地殻の等深線図を形成する必要がある。